筋肉痛はなぜ起こる?痛みを和らげる方法・早く治す方法
激しい運動をした翌日、または数日後に筋肉痛になった経験がある人も多いかと思います。
恐らく誰もが経験したことがある筋肉痛ですが、なぜ筋肉痛になるのか説明できる人は少ないでしょう。
運動時に筋肉に疲労物質である乳酸が蓄積して筋肉痛を引き起こす、という説がこれまでの有力なものでしたが、どうやら最近では別の原因が有力だということが分かりました。
この記事では筋肉痛の原因や症状、痛みを和らげるための対処法や予防策について紹介します。運動習慣のある人、お子さんが運動部に所属している保護者の方はこの記事を参考に筋肉痛についての正しい知識と対策を理解しましょう。
どうして筋肉痛になるのか?原因と症状
そもそもなぜ運動後に筋肉痛になるのでしょうか。
筋肉痛は基本的に運動後や身体を動かした後、すなわち「筋肉を使った後」に起こるとされています。
人によって数時間後~数日後に筋肉痛はきますが、多くの人はその仕組みをよく理解せず「運動したから痛いんだな」と簡単に済ませてしまうでしょう。
筋肉痛には種類があり、各々起こる原因が異なるためまずは基本的な発生原因と症状について解説していきます。
筋肉痛の種類
実は筋肉痛は2種類あるということを知っていましたか?
筋肉痛には「即発性筋肉痛」と「遅発性筋肉痛」という2種類が存在し、一般的によくある運動後数時間~数日後に表れる筋肉痛は遅発性筋肉痛とされています。
即発性筋肉痛は運動直後、早いものでは運動中に起こり、筋肉が酸欠状態に陥り痛み物質(ブラジキニンなど)が蓄積することが原因です。
遅発性筋肉痛は一般的な筋肉痛のことで、いわゆる「乳酸」が原因だとされていましたが最近では血中の乳酸値は運動後すぐに低下することが判明しました。
そのため現在では、運動によって損傷した筋繊維が修復する際の炎症が痛みの原因であるという説が有力となっています。
「年を取ると筋肉痛が遅れてやってくる」というのも詳しい原因は分かっておらず、未だにこれといった明確な理由は判明していないのです。
筋肉痛が起こる原因と症状
筋肉痛が起こる原因は、普段行わない動きや激しい運動によって傷ついた筋繊維が修復する過程で炎症を伴っていることが関わっています。
疲労物質である乳酸が蓄積しているという説が最近になって変わったため、今までの常識が変わってしまったことになりますが、筋肉痛の発生メカニズムには現在でも諸説あるようです。
筋繊維は「縮む」「伸びる」という動きのうち「伸びる」動きで傷つきやすいとされています。スクワットなどの筋トレやダッシュ、ジャンプ動作で筋肉を伸ばす際、筋繊維に強い負荷がかかり傷がつくのです。
痛みとしては、筋肉痛になった部位を曲げても伸ばしても痛いというのが一般的でしょう。
これらを修復する際筋繊維に炎症が起こり、そこで発生する痛み物質が筋膜に刺激を与えるため筋肉痛になります。
また、脱水による血流循環の悪化も筋肉痛の原因になるという説もあるようです。
筋肉痛を和らげ、早く治す方法
慣れない運動後や激しい運動後は必ずといっていいほど筋肉痛になります。
では筋肉痛によって出る痛みを早期に和らげるにはどうすればよいのでしょうか。
基本的に筋肉痛の状態での激しい運動はおすすめできません。筋肉からの黄色信号として受け取り、まずは筋肉痛を早期に回復することを優先させましょう。
ここでは筋肉痛を和らげる方法についていくつか紹介していきます。
よく温め血流を改善する
筋肉痛になってしまったら無理に動かそうとはせず、筋肉を休ませること重要です。
この時筋肉痛を起こしている部位は筋肉が緊張して(硬くなって)いるため、血流が悪い状態にあります。一番良いのは入浴時、しっかりと40~42度前後の湯舟に浸かり身体を温めることですが、そうでない場合は蒸しタオルなどで代用することも可能です。
この時あまり温度が高すぎてしまうとかえって血流が悪くなってしまうことがあるため、大体40度前後を目安としましょう。
暑い夏で湯船に浸かるのは嫌だなと思うかもしれませんが、運動をした後の身体は夏でも冬でも同様に疲労が蓄積しているため、なるべくしっかりと温めてあげることが早期に身体の調子を戻すポイントとなります。
ストレッチや軽い運動を行う
筋肉痛の状態で激しい運動をすることは控えるべきですが、かといって何もせず痛みが治まるのを待っているのもよくありません。
筋肉痛はいわば「肩こり」のような筋肉がこわばっている状態なので、その部位を軽く動かしたりゆっくりとストレッチすることをおすすめします。
ゆっくりと筋肉を伸ばすことで血流が良くなり、その分筋肉痛の回復も早まるため「クールダウン」のつもりでケアをしてみてください。
プロのスポーツ選手が練習後に軽いランニングやトレーナーにストレッチをしてもらうのも筋肉に疲労が残らないようにするためです。
激しい運動の後はゆっくりとした軽い刺激を加えることで、筋肉痛の痛みを和らげる効果があります。
塗り薬や貼り薬も効果的
テレビのCMでもよく見かける「塗り薬」や「貼り薬」も効果的です。
よくあるものではインドメタシンやフェルビナクが含まれているものが一般的ですが、血流を改善するビタミンEやアルニカチンキ、抗炎症・鎮痛効果があるサリチル酸グリコールが配合されているものなど様々なものがあります。
直接筋肉の損傷を治すものではありませんが、痛み物質や筋疲労時の血液循環を改善する成分が含まれているため、いくらか痛みや疲れは軽減するでしょう。
ただし使用する際は必ず、用法用量を確認した後使用するようにしてください。
子供の筋肉痛と対処法
習い事や部活動でスポーツをしている子供をお持ちの方はたくさんいるでしょう。
子供でも大人と同じように筋肉痛は起こります。筋肉痛の発生原因も大人と同様に激しい運動による筋繊維の損傷が主です。
大人と子供で症状やケアの方法に大きな違いはありませんが、子供は筋肉や骨が大人と比べて発育途中である分より慎重にケアをする必要があります。
まだ成長段階である子供にあまり無理をさせてしまうと思わぬケガをしてしまったり、その後の成長に影響をきたすような障害を引き起こす可能性もあることを覚えておいてください。
運動後はよく身体を休めるとともに、ビタミンB群といった疲労回復に効果があるもの、筋肉のエネルギー源となるたんぱく質(BCAA等の必須アミノ酸)を多く摂取するなど、食事や栄養面でのサポートも行うようにしましょう。
筋肉痛は栄養と休養がカギ。無理はしないこと
誰もが一度は経験したことがある筋肉痛ですが、筋肉痛の痛みを和らげるためにまずは筋肉を「休ませる」ことが重要です。
ここでの休ませるとは「使わない」という意味ではなく、ストレッチや軽い運動は積極的に行い、筋肉に溜まった疲労を取り除くとともに血流を良くしましょう。
また、筋肉をよく温めることも必要です。筋肉痛になった筋肉は硬さが出てしまうため、そのままの状態で動かしてしまうと思わぬケガにつながることもあります。
子供の場合も同様によく身体を休めつつ、疲労の回復や筋肉の修復を助ける栄養分を多く含んだ食事管理をすることで、さらにパフォーマンスを上げることが可能です。
筋肉痛を感じたら無理をせずまずは身体を休める必要がありますが、あまりにも痛みが強かったり筋肉に張りを強く感じる場合は医療機関または当院をはじめとした整骨院・接骨院を受診し、適切な処置を受けることをおすすめします。