オスグッドとは?主な原因と治療法について
部活動などスポーツをやっているお子さんをお持ちの方で、子供から「膝が痛い」「膝を曲げると痛い」と言われたことはありませんか?
よく見ると膝のお皿の下あたりが腫れているような気がする……
そのような症状は「オスグッド」かもしれません。オスグッドはスポーツをする子供によくみられる症状であるため、一見すると成長痛と見間違えてしまうかもしれません。
しかし厳密にはオスグッドと成長痛は異なるため、正確な判断が必要となります。今回はオスグッドの症状や原因、治し方について解説していきます。
運動をするお子さんをお持ちの保護者の方は、特に参考にしていただきお子さんの身体をケアしてあげてください。
オスグッドとはどのような病気?
オスグッドは膝の症状ですが、発症するとどのような痛みがでるのでしょうか。
また、同じような膝の症状に「成長痛」がありますが、成長痛との違いはどのようなところなのか。
ここではオスグッドの症状と、成長痛との違いについて解説していきます。お子さんの膝の症状がオスグッドなのか成長痛なのかを判断する材料として、ぜひ参考にしてみてください。
オスグッドの症状
オスグッドは膝の下のお皿のあたりに痛みを伴う症状で、主に膝を曲げたり伸ばしたりといった膝の運動時に痛みを伴う症状です。
スポーツなどで膝の動作を行う際痛みを感じやすく、症状によっては日常生活動作でも膝の痛みを伴うことがあります。
・膝のお皿の下あたりがの骨が出っ張っている
・膝の下のお皿あたりが熱っぽい、腫れている、痛みがある
・運動をしている時は痛いが、休むと軽快する
これらの症状がある場合にはオスグッドである可能性が高いです。整形外科等の医療機関でレントゲンやMRIを撮った際、脛骨(すねの骨)粗面に小さくはく離した骨片が見つかると診断が確定するでしょう。
オスグッドは正式名称を「オスグッドシュラッター病」といい、これまで成長痛とされてきましたが、オスグッドはスポーツ障害であるため正確には成長痛とは異なります。
成長痛との違いは?
オスグッドと成長痛は異なります。
どちらも主に足に関する痛みを伴う症状ですが、正確にはこの二つの症状には差異があるためそれぞれの特徴を以下にまとめました。
オスグッド
・小学校低学年から中学生(10歳~15歳)
・スポーツなどで運動をたくさんしている
・主に運動時に痛み
・膝の下お皿あたりの痛み
・レントゲンなどでの所見あり
成長痛
・幼児から小学校低学年(4歳~6歳くらい)
・特に運動をしていなくともなる
・痛みは不定期
・足全般に痛みがでることがある
・レントゲンなどの所見なし
このようにオスグッドと成長痛では症状もなりやすい年齢も異なるのです。
オスグッドは成長痛という認識が広がり、放っておけば治ると思っている人も多いため適切な処置ができないこともあります。
そうなってしまうといつまでたっても膝の痛みが治らず、スポーツや日常生活において支障をきたすこともあるため、早めに症状を見極め適切な処置をすることが望ましいでしょう。
オスグッドの主な原因・起こりやすい環境
オスグッドはどのような人がなりやすいのでしょうか。
オスグッドは成長痛とは違い、スポーツなどの運動時に起こるスポーツ障害です。ここではオスグッドになってしまう原因や、なりやすい人の特徴について紹介していきます。
オスグッドは膝のスポーツ障害としては特徴的な症状であるため、ある程度予防や対策が必要となるでしょう。まずは特徴を理解し、オスグッドになりやすいリスクがあるのかを覚えておく必要があります。
オスグッドになる原因は
オスグッドになる要因としては大きく分けて2つの要素が存在します。
・成長期であるため骨が未発達である
小学校低学年~中学生では、クラブ活動や部活動などでスポーツをする機会が増えるでしょう。この時期の子供は成長期真っ只中であるため、軟骨や骨の成長も著しく、なかには急に身長が伸びる子などもいますよね?
しかし、骨の成長に比べて筋肉や軟骨といった軟部組織は成長が遅く、骨の成長に追いつくことができません。そうなると太ももの前にある大腿四頭筋は柔軟性が低下し硬くなってしまうのです。また、成長期の子供の骨は未成熟な新しい骨が多く、強度も弱い状態にあります。
・膝の使い過ぎで軟骨に負担がかかる
このような成長期の時期にスポーツなどで激しい動きを繰り返してしまうと、大腿四頭筋の付着部(お皿の下あたり)に繰り返しの負荷がかかります。
腱の牽引作用によって成長しきっていない軟骨部分を剝がしてしまい、痛みを生じたり骨が出っ張るといった症状が表れるのです。
オスグッドになりやすい人はこんな人
オスグッドは以下のような人に表れやすい症状です。
・スポーツなど運動を良く行う
・10歳~15歳くらいの成長期の男子
オスグッドはスポーツ障害であるためスポーツ全般で起こる可能性がありますが、特に膝の曲げ伸ばし動作が多いとされるバレーボール、バスケットボールといったジャンプ動作が多い種目では発症率が高いとされています。
また、ダッシュなどで瞬発的に膝を曲げたりする陸上競技(短距離)、野球、サッカー、水泳などのスポーツでもオスグッドになる可能性があるのです。
ほとんどのスポーツで膝の曲げ伸ばし動作は行われるため、誰にでもオスグッドになる可能性はあるといっていいでしょう。
うさぎ跳びをいつしか行わなくなったのは、オスグッドの発症リスクを高める危険性があるからだとされています。
オスグッドの治療法について
実際にオスグッドになってしまった場合、どのような治療を行うのでしょうか。
また、オスグッドにならないために日頃意識しておくべきポイントについてここでは紹介していきます。お子さんが運動部である場合オスグッドになる可能性は十分にあるため、しっかりと対策やケアの方法を理解しておきましょう。
症状が重くなってしまうと、長期に渡って運動ができなくなってしまうだけでなく日常生活においても支障をきたすことがあるのである程度の知識が必要です。
オスグッドになってしまったら
オスグッドになってしまったらまずは無理せず休息をとることが重要です。
膝の下あたりに痛みがでているときは、大腿四頭筋を繰り返し使ったことによって筋肉が緊張し付着部に負担がかかっている状態です。
このようなときにさらに負荷をかけてしまうと、筋肉が緊張した状態でさらに牽引力が加わり軟骨の一部を幅してしまう恐れがあります。そうなってしまうと患部に炎症症状が起こるため、アイシングなどの処置が必要となるでしょう。
基本的には無理をせず、運動後にしっかりとストレッチをしたり入浴時によく温めるなどして、筋肉の緊張を緩和することができていれば症状が悪化することは少ないです。
運動時に多少の痛みを感じるのであれば、サポーターやテーピングで膝のお皿の下あたりを軽く圧迫してあげると負担を軽減することができます。
オスグッドにならないための予防法
オスグッドにならないために日頃から行うべきケアはストレッチです。
大腿四頭筋は人の身体でも最も強さを発揮する筋肉であるため、それだけ付着部にかかる負担も大きくなります。日頃からストレッチを行うことで大腿四頭筋の柔軟性を補い、同時にケガのリスクも抑えることが可能です。
筋トレをして筋力をつけることも重要ですが、どちらかといえば筋肉の柔軟性を高めるために運動後や入浴後にしっかりとストレッチを行う習慣を作りましょう。
特に急に身長が伸びた子は筋肉にかかる負担が大きくなるため、筋肉の緊張が出やすいということを覚えておいてください。
無理せず早めの治療が肝心!
オスグッドは成長痛と混同されがちですが、スポーツ障害であるためある程度予防や発症リスクを抑えることは可能です。
スポーツをしていれば誰でも発症する可能性があるため、日頃のケアがとても重要となります。お子さんがあまりケアができていないようであれば、ぜひ保護者の方がアドバイスをしてあげてください。
痛みの度合いによっては運動自体を長期間休まなければらないため、本人がつらいだけでなく周りにも迷惑をかけてしまうかもしれません。そうならないよう、痛みがでたら無理をせず早めに医療機関または当院をはじめとした整骨院・接骨院を受診して適切な処置を受けましょう。