むち打ち(頸椎捻挫)の原因と症状、解消法について
むち打ち(頸椎捻挫)は交通事故やスポーツ等で頚部に強い外力がかかる際発生する障害です。
それ以外にもストレッチを強く行ってしまったり、自分で首を鳴らそうと無理に捻ってしまった際にも起こるとされています。
いずれも首の筋肉や靭帯に無理な力が加わったことによってそれらの組織を痛めてしまうことが原因ですが、症状によっては痛みだけでなく手や腕のしびれ、吐き気や頭痛などの症状が出ることもあるため、注意が必要でしょう。
この記事ではむち打ち(頸椎捻挫)の原因や症状、改善方法について紹介します。現在首に痛みがあったり、首に強い負荷をかけてしまった覚えがある人は症状が強くなる前に早めの対処が必要となるため、この記事を参考にしてみてください。
どうしてむち打ち(頸椎捻挫)になるのか?原因と症状
どのような原因でむち打ち(頸椎捻挫)になってしまうのでしょうか。また、むち打ち(頸椎捻挫)になってしまった場合、身体にはどのような症状が出るのかについて解説していきます。
むち打ち(頸椎捻挫)は誰でも発症する可能性があり、程度によっては治るまでにかなりの時間を要することもあるため注意が必要です。
ここではむち打ち(頸椎捻挫)の原因とその症状について紹介していきます。
むち打ち(頸椎捻挫)の原因
むち打ち(頸椎捻挫)と聞いてまず思い浮かべるのは「交通事故」によるものでしょう。
後ろから追突された際首が強く動かされた衝撃で負傷することが多いですが、スポーツ(サッカーやラグビー等)によるコンタクトや転倒といったものでも同様にむち打ちになることはあります。
頸椎(俗にいう首の骨)は構造上横から見ると弓なりになっていて、周りの筋肉や靭帯が頭部を支えていますが、この頸椎が強い衝撃によって強く動かされてしまうとき周辺の組織を痛めてしまいむち打ちとなるのです。
頭部の重さは体重の10分の1程とされているので、衝撃によって強く頸椎がしなると頭部の重さが負担となり首を痛めてしまいます。
むち打ち(頸椎捻挫)の種類と症状
むち打ち(頸椎捻挫)にはいくつかの種類があり、それぞれ症状が異なります。
■頸椎捻挫型(全体の7割、俗に言うむち打ちのこと)
・症状→頭痛、首や肩の痛み、痛みで動かせない
・原因→強い衝撃によって靭帯や筋肉を損傷
■神経根損傷型
・症状→首や肩の痛み、腕にかけてのしびれるような放散痛
・原因→神経根(神経の根本)の損傷
■脊髄損傷型
・症状→腕や手の痛み、しびれ。足にも同様の痛みやしびれ
・原因→頸椎内部を走行する神経の損傷
■バレリュー症候群
・症状→頭痛、めまい、吐き気など
・原因→自律神経の損傷
一般に首に痛みを感じるむち打ちとしては頸椎捻挫型が大半を占めています。しかし、なかには手や腕といった上肢にしびれや感覚異常をきたすような神経症状を伴うものもあるため、ただの「首の捻挫」で済ませてしまわないようにしましょう。
むち打ち(頸椎捻挫)は自分で治せる?できることは?
むち打ち(頸椎捻挫)になってしまった場合、セルフケアは可能なのでしょうか。また、自分で症状を軽くするためにはどのような方法があるのか、その方法について解説していきます。
症状によっては数時間~数日程度で緩解するものもありますが、なかには数週間以上にわたり痛み等の症状を伴うものもあるため、痛みの程度を観察しつつ適切な処置を施しましょう。
首・肩周りのストレッチ
首の筋肉は主に頭部から頚部に付くもの、頚部から肩に付くものがあるため、それらの筋肉の緊張を取り去るためにストレッチを行うのが効果的でしょう。
この時注意が必要するべき点としては「強い力を加えない」ということです。頚部は無数の神経が走行しており、なかには感覚や動きの要となるような重要な神経もあるため、その神経を傷つけてしまうとその後の日常生活に支障をきたす可能性があります。
ストレッチをする際は息を止めず、息をゆっくり吐きながら筋肉を伸ばすことを意識しましょう。首を伸ばすというよりは肩周りにかけての筋肉が伸びるような感覚で行うと良いです。
筋肉は息を止めると緊張してしまうため、その状態で伸ばそうとすると逆に縮もうとする力が働き、双方の力が抵抗しあうため損傷してしまいます。
息をゆっくり吐きながら、ゆっくりと伸ばすことがコツです。
患部をよく温める
むち打ちで痛めてしまった筋肉は痛めた直後でなければ温めることによって血流が改善され緊張がほぐれます。
筋肉に硬さが出ている状態では伸ばしても縮めても痛みを伴うため、まずはこの硬さを取り去ることを意識しましょう。
入浴時に湯舟にしっかり浸かるなど、身体の芯から温めることによって身体全体の血流が促進されます。これは夏場でも同様に、外気温が高くても部屋ではクーラーによって体は意外と冷えてしまっていることが多いです。
そのため、肩こりや慢性的な腰痛に代表されるような筋肉の緊張症状というのは、季節に関係なく起こる可能性があります。
むち打ちによって痛めてしまった筋肉の緊張を除去することでしびれなどの神経症状が起こるリスクを減らすことが可能です。
自分で手を加えるのは危険?
むち打ちに限らず筋肉の症状というのは場所によっては非常にデリケートであるため、痛みが強い場合には自分であれこれとむやみに動かすことは控えたほうがいいケースもあります。
特に首の場合重要な神経が走行しているため、無理に動かしてしまうことで痛みが強くなってしまったり、無理な力を加えたことによって神経の圧迫が強くなった結果しびれなどが出るなど、症状が悪化することも少なくありません。
基本的なストレッチや温めるなどの処置を行っても症状に変化がみられなかったり、逆に日を追うごとに症状が強くなる場合には早めに専門家の処置を受けることをおすすめします。
むち打ち(頸椎捻挫)にはどんな治療があるのか?
むち打ち(頸椎捻挫)にはどのような治療法があるのでしょうか。
ここでは各医療機関や整骨院・接骨院でのむち打ちの治療法について紹介していきます。整形外科等の医療機関と整骨院・接骨院では治療内容が多少異なるため、自分はどちらに通うかの参考にしてみてください。
いずれの機関でもむち打ちの治療は可能であるため、通いやすい方を選択しましょう。
医療機関では物理療法・シップや痛み止めを処方
整形外科等の医療機関を受診した場合、まずレントゲンの撮影をし骨に異常があるかを検査します。その後首の動きなどをチェックしたりしびれなどの神経症状があるかを検査するのが一般的な流れでしょう。
また、患部を温めたり、低周波治療器などを使用した物理療法を行うことも多いです。痛みの程度によっては頸椎カラーを巻くこともあります。
シップや痛み止めを処方され、痛みに変化がみられなければ再度の受診を勧められるでしょう。
整骨院・接骨院では物理療法や手技療法
整骨院・接骨院でのむち打ちの治療は、患部の動きや神経症状の度合いを検査したのち、患部に炎症症状が確認できなければ直接首や肩の筋肉をほぐす手技療法を行います。
また、医療機関と同様に患部を温めたり低周波治療器などの物理療法を行いつつ、ストレッチなどのセルフケアや生活指導も行うのが一般的です。
鍼灸師が従事している鍼灸接骨院では緊張の出ている筋肉にはり治療を行うところもあります。いずれにせよ硬さの出ている筋肉の症状を改善することをメインに治療を行うことが多いです。
病院とは異なりシップや痛み止めが処方できないため、頻回の治療によって症状を早期に改善することを勧められるでしょう。
むち打ちの治療・リハビリは各種保険が適用できます。
交通事故やスポーツが原因となるむち打ち(頸椎捻挫)では、各種保険が適用となるため、なるべく初期の状態では頻回の治療をし、早期に症状の改善を図りましょう。
少しでも痛みや症状に不安・疑問がある場合には、自分ではあまり手を加えず専門家に見てもらうことが重要です。
はじめは違和感がある程度だとしても、首などの神経症状は徐々に強くなってくることも多いため、少しでも異変を感じたら迷わず医療機関または当院をはじめとした整骨院・接骨院を受診してください。